《MUMEI》
金魚鉢
by 新条れいら

空にひらりと金魚が舞う


祖父が不器用な手つきで掬ってくれた金魚。

黒猫を連想させる店員の開く熱帯魚の店。

真亜子の目の前を、ひらりと赤い帯びれが揺れて、過ぎて行く。

「あ、今の見えた?」

猫のように笑いながら、男が笑った。

1:プロローグ

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