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《MUMEI》
ジョージ、鼻毛を抜く1
「鼻毛を抜いておりました」
霞が関・厚生労働省のビルの一室で、若い官僚が強ばった声で答えた。
「詳細に申し上げますと、マル対は右手の人差し指と親指を器用に使いまして、こう、右の鼻の穴から勢い良くぶちっと…そう、数にして3、4本は一度にいったかと…」
「もういい」
重厚な黒檀の机の向こうで、上司と思しき男が部下の話を遮った。
「鼻毛を抜いていた…鼻毛を抜いていただと?この国家の一大事に、最近の若い奴らは何を考えておるのだ!」
上司は最高級パーシモンのゴルフクラブを磨きながら、声を荒げた。
そう、2010年、日本は確かに一大事な状況を迎えていた。高齢化と少子化で労働人口が減っているにも関わらず、いわゆるNEEDと呼ばれる働いていない若者が増加中なため、全国の就労人口は絶望的なまでに低い数字だった。日本のGDPは急激に落ち込み、円は下がり、国債の金利は右肩上がりとなった。「日本沈没」のシナリオはもはや目前だった。

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