《MUMEI》

その日は金曜以外の平日だったと思う

只なんとなく…電車内に酔っ払いがいた記憶が無いからそう思っただけだ

最終電車の中は乗客はまばらで

同じ車両には俺の他に数人ほどしか乗ってなかったと思う

俺は仕事疲れの身体をぐったりと座席に預けていた

終電なので乗り過ごさないよう必死に眠気を堪えてた記憶がある

そんな時、隣の車両から誰かが歩いて来るのが見えたんだ

チラッと顔を見たら40歳くらいのオバサンだった

最初見たときは、車両から車両へと移動する只の女性客だと思ってた

だけどそのオバサン、なんか変なんだ

歩きながら何かブツブツ独り言を喋ってたんだ

小さな声で早口だったので、何を喋ってるのかは聞きとれなかった

それに、おかしな行動もとっていたんだ

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