《MUMEI》
叫び
私はその不思議な体験をした後、すぐに山本に会いたくなった。

親戚のおじちゃんに頼んで山本を呼び出してもらった。

私は初めて行く、少し高級そうなイタリア料理店で山本を待った。

私はただ泣くことしか出来なかった当時の時にはびっくりするぐらい頭がよく回っていた。

お父さんは私に恨まないように望んだ。だから私は恨まない。

そう冷静に考えると、今山本が苦しんでいるということが容易に想像できた。
ただ両親を失っただけじゃない。

山本が責めたお父さんの死は、山本にとっても大きなショックとなったに違いないのだから。


私はこの時山本とどんな話しをしたかあまり覚えていない。

ただ覚えているのは、山本が責めたからお父さんが死んだんじゃない、だから自分を責めないで。山本は死なないよね。死なないで。死なないで。
そう言ったことぐらいだ。


私はもしかしたら、山本まで死んでしまうんじゃないかとその時思った。だから死なないで、死なないでと必死に言った。叫んだ。


−−私達はそんな出会いだったんだ。

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