《MUMEI》

その日、先輩は丸一日トイレで過ごした

上司がトイレのドア越しに「仕事しないなら帰れ」と言うと

先輩はそのままフラフラと帰っていき、翌日から会社に来なくなった

もともと便所コオロギだから、いなくなったところで誰も気にしなかったが

あまりにも休みが続いたため、先輩のデスクを協力会社の人に使わせたところ

机の中からS美を隠し撮りした写真がいっぱい出てきたそうだ

俺は見てないが、けっこうマズい写真も含まれていたらしい

その事を上司に報告すると

怒った上司が、その日のうちに先輩に電話を入れたそうだ

先輩はそのまま会社を辞めた

オタクという生き物が人間界の女性に叶わぬ恋をしてしまったがために起きた悲劇だった…

第9話 完

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫