《MUMEI》

「おあああ!!オレのバッグが無いっスよお!!せんぱーい!!オレ帰れないじゃないっスか!」

俺は背中越しに遠ざかってゆく彼の声に虚しさを感じた

やれやれ…

このまま彼を放置してゆくのも気がかりだ

もしかすると他の乗客とトラブルになったり

線路に転落して事故につながるかもしれない

心優しい俺は、あの若者を誰かに保護してもらおうと考えた

俺は改札口を出ると、駅員さんに声をかけた…

「あの…ホームで暴れてる若者がいますよ。あれかなりヤバそうですよ。もしかしてクスリか何かやってんじゃないかな? 今にも誰かを殴りそうな雰囲気でしたもん。はやく警察呼んだほうがいいですよ。」

(多少尾ひれは付いたけど嘘は言っていない)

俺は駅員さんにそう告げると、駅から自宅に帰るためバス乗り場へと向かった

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