《MUMEI》

うわべだけの謝罪かもしれないけど…

とりあえず半裸姿を見られたのと、いいムードを壊されたこと以外 実害は無いし

それに彼女は、その男ともお隣さんとして壁一枚隔てて

暫く この部屋に住まなくてはならないのだ

下手に事を荒立てたら仕返しみたいなことをされるかもしれない

そうなれば標的になるのは彼女のほうだ

「いいよ…もう覗かないでくれよ…」

俺は仕切り板の向こうにいる男に言った

「ありがとう…絶対に覗きません…約束します…ほんと、すみませんでした…」

隣の部屋のベランダからサッシの開閉音が聞こえ、仕切り板の向こう側の気配が消えた

とりあえず、もう あの男が彼女の部屋のベランダを覗くことはないだろう…

根気は無いけど、そう信じることにした

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