《MUMEI》
愛鈴の知った真実
翌日、夕季の心は沈んでいた。
父さんが愛鈴のことを調べ上げることなど、予想はついていた。
愛鈴にこれ以上怖い思いをさせたくない。
「どうしたら・・・」
「夕季!」
屈託の無い愛鈴の笑顔。
守りたい。それだけだった。
「あ、おはよ」
「今日ね・・・」
「・・・」
「夕季?聞いてる?」
「あ・・・ごめん」
「何か変だよ? 今日の夕季」
「そんなことないと思う」
「いや、なんか変。何か悩みでもある?」
何で分かるんだろう? 夕季には不思議だった。
愛鈴に隠し事はできないとこの時確信した。
愛鈴を・・・家のしがらみに巻き込みたくない。
そう思った。
「いや・・・」
「隠し事は、無しだよ?」
敵わないな・・・。夕季は仕方なく話すことにした。
「ん、じゃぁ、落ち着いて聞いて?」
「? うん、何?」
「俺の親・・・って言っても、父さんが、愛鈴のことをいろいろと調べてるみたいで・・・」
「えっ!」
愛鈴は元々大きくて丸い目をさらに丸くしている。
余程驚いたのだろうか。
「何をしてくるか分からない。・・・・・・俺と別れたくなった・・・?」
夕季は恐る恐る聞いてみた。
「そんなわけないでしょ!」
「!」
「何があっても夕季の傍にいるって決めた!」
「良かった・・・」
「だから、大丈夫!」
「辛い思いはさせないから」
「うん」

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