《MUMEI》
命の実感。
殺す。
品川がそう言った。
今までは、命の実感なんか無いに等しかった。
だから簡単に、軽々しく人に言ってしまっていた。
響介の顔が浮かび上がる。
今ならわかる。
命の重さが。
実感できている。
死ぬわけには、いかない。
助けるんだ。


「その言葉を…………!軽々しく言うな!」
倒れかけていた体を右足を立てて体勢を立て直し、髪を掴んでいた品川の腕を払い除ける。
解放された頭を勢いよく、品川の顔面にぶつける。
「ぐぶっ」
ゴッ、と鈍く音がした。
鼻の下を頭突きしたようで、品川の顔は鼻血で溢れていた。
そして、『僕』は立ち上がる。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫