《MUMEI》 命の実感。殺す。 品川がそう言った。 今までは、命の実感なんか無いに等しかった。 だから簡単に、軽々しく人に言ってしまっていた。 響介の顔が浮かび上がる。 今ならわかる。 命の重さが。 実感できている。 死ぬわけには、いかない。 助けるんだ。 「その言葉を…………!軽々しく言うな!」 倒れかけていた体を右足を立てて体勢を立て直し、髪を掴んでいた品川の腕を払い除ける。 解放された頭を勢いよく、品川の顔面にぶつける。 「ぐぶっ」 ゴッ、と鈍く音がした。 鼻の下を頭突きしたようで、品川の顔は鼻血で溢れていた。 そして、『僕』は立ち上がる。 前へ |次へ |
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