《MUMEI》

俺は吊革に掴まって圧力に耐えていたので、後ろにいるオジサンの顔を見る余裕など無かったけど

どうやら、そのオジサンは誰かに触られるの を極端に不愉快に感じるらしく

誰構わず肘鉄とかグーパンとか、暴力に近い行為をはたらいたらしい

「痛い!やめろ!」

「ちょっと!やめてよ!」(♀)

「いい歳して恥ずかしくないのか!?」

車内には被害を受けたとおぼしき乗客らの声と…

「うるせぇ!! こっち来んじゃねぇよ!!」

オジサンの怒鳴る声がずっと聞こえてきた

俺は吊革に掴まりながら、その険悪な空気と人間の壁の圧力にじっと耐えていた

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