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《MUMEI》 会社帰りの電車の中で、俺は吊革に掴まって立っていた ギュウギュウの満員電車ってほどでもないけど、座席と吊革はほぼ埋まっていた 俺の左隣には、やたらガタイの良い大学生くらいの若い男が立っていた Tシャツからのぞく腕が太くて、明らかに何かのスポーツで鍛え抜かれた体つきをしていた その若い男のすぐ前には、これまたガタイの良い30歳くらいのリーマン風の男が、窓を背にして座っていた このリーマンもYシャツの第一ボタンがとまらないほど首が太く、胸板も厚かった この二人は赤の他人で、とくに知り合い同士ではないようだ 若い男はガラケーをいじっていたが、リーマンは若い男をチラチラ見上げていた その眼つきから読み取れる感情は、けして若い男に対する不快感ではなく リーマンが若い男に対して、ある種の"興味"を抱いていることを物語っていた その興味とは… 前へ |次へ |
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