《MUMEI》
「自分自身の力で」。
絶対に、助けるんだ……!!
体の痛みが、全く無い。
その分、『俺』に痛みが回っている。
早く決着を着けなければ、どうなるかわからない。
だから……早期決戦だ。
「お前……なんで動けんだよ!」
品川が叫ぶ。
「絆だよ」
ぼそりと呟く。
自分自身との絆、っていうと、変な感じだ。
でも、それ意外に言葉を知らない。
「歯ぁ食い縛りなよ……」
拳に力は入る。
麻痺したような、変な感覚。
でも、体は動く。
「お前を……蹴散らす!」
頭突きで尻餅をついていた品川の左頬を抉るように殴った。
本気で人を殴ったのは、あの日以来だった。
相変わらず嫌いな感触。
それでも僕は拳を握る。
約束したんだ。
絶対に、助けるって。
二人に。
他力本願じゃなくてーーー……。
自分自身の力で!!

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