《MUMEI》
隻眼空虚
「ねぇ、あの噂聞いた?」
「聞いたにきまってるじゃない!あの子、瀕死の状態で運ばれたのに昨日、目を覚ましたんでしょ?」
「そうなのよ。でもねその話には、続きがあってねあの子、消えたらしいわよ。」
「消えた?何それ、だってあの子はほとんどの臓器が駄目になっちゃたんじゃないの?」
「そう、それなのよ!でもね、明け方様子を見にいった看護師の子が見つけたのよ。・・・・・・・血だらけのベッドと病院服をね。」
「何それ本当なの?」
「本当よ!警察とかには話してないみたいだけどね、担当の看護師の子から聞いたもの」
「ご家族の方は?」
「それがね、あの家、なんだか特殊でね”あの方が自らの意思でいなくなったのならそのままにしてください。決して表に知れないように。”だって。」
「はぁ?ちょっとおかしくない?」
「そうなんだけどね、運ばれてきた子えっと・・・・・空木藜さんだっけ?その子も少し変だったじゃない。」

「だって、女子高生が鉛玉を喰らって運ばれるなんて早々ないわよ。」






怪物と戦う者は自分も怪物にならないように気をつけなければならない。
暗闇の深淵を覗き込むとき暗闇もまたこちらを覗いているのだから。
                                             ニーチェ

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