《MUMEI》
大嘘。
捕まっている時、考えていた。
響介の容態。
新斗に聞いた。
医者でも、響介のお母さんでもなく。
新斗に?
それに気付いて、ハッとなる。
新斗は、大嘘憑きだ。
新斗は敵だけでなく、味方にも嘘を憑く。
何故そんなことをしたか、何となくだけど、わかる。
だから、意図がわかった。
敵を騙すには、まず味方から。
響介は新斗が言うほど、重傷ではなかったんだ。
確信はした。
だけど、正直自信はない。
あくまでこれは、僕の希望的推測。
根拠なんか、何一つない。
しかも新斗とは、この間2年ぶりに話し合えるようになっただけだ。
信頼関係だって、1からやり直しになった。
だけど、何だろう。
新斗ならそうするだろうと、わかる。
控え目だった僕の自信が……混み上がってくる。
美鶴は、大丈夫だ。
新斗の目論見通り、僕らは騙され、品川達だって騙された。
闘志をメラメラと燃やした響介が、今頃美鶴の所に現れているはずだ。
グッジョブだ、新斗。
だけど……全部が終わったら、一発殴らせろ。

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