《MUMEI》

「それじゃ、はい、これ。麟光。」

「おう、アリガトな。」

両手で大切そうに手渡されたので、此方も両手で慎重に受け取る。

ズシッと重みが両腕に負担すると同時に久々の銃の匂いのようなモノを感じ、じっくりと銃身を眺めていた。

「ところで、なんで銃?今までずっと刀一筋だったじゃないの。」

武器屋として、やっぱり急に武器の趣向を変えるのは好まないのだろうか、眉間にしわを寄せている。

「あ、私が使うんです。それ、狙撃手用ですよね?」

「そうだけど、それならもう少し軽い方が良いわ。ブースト付ける?」

「ブースト…他にどんなのがありますか?」

「他は―――…。」

サヤはゲームをあまりしない筈なのに、カナと二人でどんどん話を進めていく。

なんだか、疎外感、だなぁ。

そんなことを一人でしんみりと心の片隅で感じていると、指輪に緑色のエフェクトが掛かっていることが分かった。

「ハルかアカネか。」

呟き、メニューを開いてメッセージ欄を見ると、アカネという名前が柔く光っていた。


ハルがかくるにぇ


「?」

意味の解らない言葉が入っていて、流石に自然と首を傾げた。

「カケル、終わったよ。料金六百三十ジェルです。」

「よろしくね、ショウ兄。」

結局、ブーストの料金は俺持ちだ。

なんというか、この二人は似ているなぁ、と呆れ半分泣き半分で思った。

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