《MUMEI》 震える指で 応答をおした 「もしもし」 少しひくい 一之瀬君の声だ 「もしもし」 「来るなよ」 冷や汗が ねっとりとからだにまとわりついた 「い、今から行く」 自分でも、頑固だな、っておもうよ でも、好きだからしょうがない 「来るな」 「いやだ」 「くんな」 「いやだ!」 一之瀬君から声がきこえない 「…………頼むから」 少し、声が高くて 震えていた 前へ |次へ |
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