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《MUMEI》 第四夜 女子校日中に吸収した熱を体内に内包したまま､眠れない長い夜を迎える｡月が欠けるように､明けない夜はない｡全てが移ろっていくのならば､戯れに永遠を夢見ようか｡永い夜の楽園は､きっと両腕を差し伸べて我々の来訪を待ち望んでいる｡引き換えには､決して大人にならない望みを｡……先生のマンションまで｡手製弁当のミートボールを食べながら答えると､初等科から高等科までを同じクラスで過ごした友人が､含んでいた苺ミルク牛乳を危うく吹き出しそうになった｡発端は授業中､友人への投げ文だ｡端末ではなく､綺麗に折り畳んだ林檎形の手紙を机に投げ込んだ｡そもそもは友人が､予鈴の鐘が鳴り終わってからしばらく､派手に息を切らして教室へ飛び込んできたからである｡ホームルームでは､服装検査が行われていた｡普段結ばないタイをリボンにした彼女たちが一斉に振り返る｡遅刻､な｡若い担任教師の言葉に､友人は頭を下げてから席に辿り着く｡一限目の授業で睡魔と闘う最中に送った文の返事が､すぐにノートの切れ端で返送されてくる｡幼馴染みの彼とはどうなったの？が､こちらの最初の質問｡愚問!あんたこそ担任教師とはどこまで行ったの？と書かれていたので､冒頭の返答になる｡図々しい女だな｡さすが教師を彼氏にしているだけはあるね｡ほめ言葉だと思っておこう｡いいけど｡何で遅刻したの？待ち伏せ｡誰を？男を｡どこで？駅で｡もういいから､説明してよ｡じゃあ､放課後つき合って｡無邪気というには語弊のある笑顔で､また何か目論んでいるらしい｡そんな騒ぎに巻き込まれるのは､意外とやぶさかではない｡ 前へ |次へ |
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