《MUMEI》

新品の紺の制服に袖を通して、胸元に赤いリボンをつける。


その作業でさえ、うきうきして、笑みが零れて


一階に降りると、洗面所で顔を洗う。


それから、長い髪をくしでとかして、低めの場所にふたつゆわき。


それから、メガネをかけて。


「よしっ、」


鏡を見る。


つぐつぐ地味だなあ、
って思う。


今時珍しい低めのふたつゆわきに、メガネなんて。


実は、わざと地味めに、心がけたんだけど。


メガネだって、本当はかける必要もないんだけど。


それでも、私にはこれが必要なんだ。


ほんとはもっともっと、かわいくしたい。


でも、これでいいのだ。


今日から、新しい毎日が始まる。


新しい、杉波あこになる。

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