《MUMEI》

そんなことを考えていたら、もう並木道を抜けてしまった。


私と同じ紺の制服を着た人たちが、続々と目の前の大きな門をくぐってゆく。


川峰高校はもう目の前。


校門のすぐそばにある木は、もうピンク色に色づいていて。


「ふう…」


一息、息をはく。


緊張するなあ


ドキドキしながら校門をくぐる。


くぐってすぐ、校舎の入り口―昇降口近くに人だかりが見えた。


…クラス発表かな?


そういえば入学者のてびきに、昇降口近くに名簿をはるって書いてあった気がする。


「…」


深呼吸をして、人だかりに近づいた。


何組かなあ…


「あっ、」


名前…


あった。


杉波あこ


きれいに印刷された文字で


書いてある。


思わず、声をあげる。


クラスは


「3組…」

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