《MUMEI》
ドラム缶攻防戦
僕たちは北を目指していた。
どれくらい北の方に凍え穴はあるんだろう。一体そこに何があるのだろう。
急にカエルは立ち止まり拾った枝で地面に魔方陣のようなものを描きだした。
「なんだそれは?」僕は訊ねた。「ただの落書きさ」とカエル。
すると向こうからドラム缶がゴロゴロとこちらに転がってきた。
ドラム缶は石にぶつかって停止し中から黒頭巾を被った女の子がでてきた。
「私魔法使い。あなたたちは旅行者ね。きっと凍え穴にいくつもりなのね。あそこは狂暴なモンスターや意地悪な魔法使いなんかが住んでいてとても危ないところよ。ちなみに私は意地悪な魔法使いではないから安心して。どちらかというと善良な魔法使いだと自他共に認めるところだわ。私の魔法の力がきっと役にたつと思う」
カエルは急いでしゃもじを取りだし、構えた。
「俺に勝てたなら仲間にしてやろう。役に立つかどうか見極めてやる」
「のぞむところよー」黒頭巾は杖を振りかざした。

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