《MUMEI》
(未定)
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「最近、理緒楽しそうだね」

眠気が訪れる昼下がり、日課の如く一つの机の周りに集まって雑談をしていた。話題も底をつき、皆それぞれ好きなことをしている中で亜梨沙がポツリと言った。「そういえば、」と本当にそう思っているのか定かではないが美知達が同意を示す。

「そう、かな?」

「凄く楽しそうだよ。何? 良い人出来た?」

「お! 遂に理緒の恋バナが聞けるか!?」

口々に好き勝手なことを述べ、満足した後で「結局どうなの?」とニタニタしながら問われる。いやらしい笑い方だなと常々感じる。

「まさか! 良い人いるなら紹介して欲しいくらいだよ」

ウザいという気持ちをグッと堪えて、にこりと笑う。苦笑いしておけば良いだろうと表情を調整し、軽口だって忘れなかった。

すると、「何だよ、つまんないな」と笑い飛ばされた。「出会いもないしねえー」と溜息混じりに呟く。……妙な出会いは屋上であったけど、などと思いながら。

「えー、じゃあ誰か紹介してあげる?」

う、と言葉に詰まる。別に彼氏も好きな男もいらないのだ。冗談のつもりでぼやいたことを、どうやら本気に取られてしまったらしい。

「んー、実は私、ドラマチックな出会いを求めてるんだよね。白馬の王子様みたいなやつ」

「マジか。理緒って結構、乙女なのな」

「でもそんなこと言ってたら、あっという間に枯れるぞ」

「有り得るかも、」と再び苦笑する。枯れるなら枯れたって構いやしないけれど。

「まあ良いじゃない。理緒も私もフリーってことで」

「え?」

「今、彼氏と別れたから」

世間的には重要なのかもしれないが、個人的にはかなりどうでも良いことをサラリと亜梨沙は口にした。「何々?」と彼女の持つ携帯の小さな画面を食い入るように美知達が見つめる。興味がある素振りを見せながら、私も美知達と同じように亜梨沙の携帯を覗き込む。そこには別れの言葉が3行ほど綴られていた。見せられたメールは彼女から送ったものだ。顔を上げると興味津々という風に美知が口を切った。

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