《MUMEI》
「俺、上手くなったよ!」何が上手くなつた?
「俺、けっこう上手くなったんだよ」
啓介が得意気に言う。
俺は、はいはいと啓介の顔を見ずに返事をする。
「…………」
啓介の無言の視線が、俺に突き刺さる。
「ああ、わかったよ」
耐えきれずに、ワシワシと啓介の頭を掻き乱して撫でてやる。たちまち破顔した啓介を眺める俺。

(まったく、卵が上手く割れるようになつたからってよろこんじゃってさ…)
嬉々として卵を割ってる啓介にこちらも自然と口元がニヤける。

(本当に可愛いな、俺のワンコは)

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