《MUMEI》
乾汁って味はアレだけど成分のバランスは完
「はぁ…乾汁、か?」

「そうだ、風魔さんも飲んでみないかい?」

そう言って私の前に差し出されカップの中にはボコボコと泡立つ赤黒い液体…

どうやら部員はいつもこれを飲まされているらしい。

でも私は昔から毒に慣れるために猛毒を飲まされてきたから大丈夫だろう。

「…せっかくなので一杯いただくよ。」

カップを受け取り喉に流し込む。

「…ほぅ、流石風魔さんだな。」

「それほどでも、それにしてもこれってバランスはいいけど味は問題あるよ?」


…正直、めっさ不味い。
毒に慣れるために猛毒を飲まされてきた忍びはだいたい味覚が悪くなるが私は毒の効力より食欲が勝り、味覚はとてもいいのである。

乾は何やらメモを取っているが、いったい何に使うのだろう。


背後から(正確にはコートから)視線を感じ、後ろに振り向くと…

乾汁を平然と飲んだ私をまるで化け物を見るように真っ青な顔でこちらを凝視している

「風魔さんも飲めるんだ?美味しいよね〜乾汁。」

…なんか糸目の人に話しかけられたけど美味しいか?これって?

「えっと…誰でしたっけ?」

「…不二周助だよ。覚えにくかったら周助って呼んで。」

「周助君…味覚、大丈夫?」


このあと私は周助君が味覚オンチなのを越前少年に教えてもらったのだった。

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