《MUMEI》

パカリ、大きく口を開いた
「入って」
人一人余裕で入れる程にまで広がった口
少年を抱えたままメリーはその中へ
入っていけばまたしても歪む景色
常にソコに居座る違和感に少年は矢張り口元を押さえ、えづく事を始める
それが落ち着いたのは現実に戻ってから
少年の部屋らしいソコに着き、メリーは少年を肩から降ろしてやった
「今日は、もう寝なよ」
ベッドへと押しやってやり、布団を被せてやれば
少年はソレを良しとせず、身を起そうとする
「……死にたいの?これ以上は僕、知らないよ」
「だって、まだ妹が!!」
見つけられていない、との少年へ
メリーは苛立ちも露わに、銃を取り出しその銃口を少年へと向けた
「……いいから、寝て」
傍から見れば脅している様にしか見えないソレ
だが、メリーなりに少年を気遣っての事で
色々あって疲れているだろうから、との配慮だった
「……わ、かった」
向けられる銃口にやはり恐怖したのか
少年は素直に頷き、布団を被る
目をつぶればやはり疲れていたのかすぐに寝息が聞こえてきた
「素直に、なればいいのに」
手のかかる子供だと溜息に肩を揺らしながら
少年の髪を何となく梳いてやり
身を翻すとその場を後に
外へと出てみれば空に見える満月
「……嫌な空」
満月はまるで空に空いた穴
眺めていると、落ちる処まで堕ちてしまった様な気になる
「……何やら厄介事に首を突っ込んでいる様だな。メリー」
目を逸らしたその先に見えた人の影
聞き覚えのあるその声に、メリーは僅かに眼を細めながら何か用かを返してやった
「別に用はない。何となくだ」
「単なる暇潰しって訳?」
そうならば余程の暇人だと睨み付けてやれば
相手はやれやれと溜息を吐く
「私はそこまで暇人ではない。……そうだな、忠告位はしてやろうか」
「忠告?」
何の忠告かと怪訝な表情のメリー
そのメリーへと相手は改めて溜息をつきながら耳元へと唇をとせ
「……ナイトメアには、深入りするな。消えたく、なければな」
ソレだけを言うと相手はその場から消えた
メリーはその背を睨む様に眺めた後、身を翻す
まだ、嫌な気配が漂っている
辺りを見回し、未だ感じるソレに嫌悪感を覚えてしまいながら
メリーは現実の夜の中へ
深夜だというのに賑わう街
行き交う人々の流れる様を横目で見やる
夜はヒトの欲を増長させる
溢れ出すヒトの欲の匂いにメリーがつ花を鳴らせば
その人混みの中、メリーの方を凝視する視線に気が付いた
「……あの子」
ソコに居たのはあの少年
メリーが気が付いた事に気付き、少年は慌ててその場から走り出す
「……本当、素直じゃない」
逃げる様に人混みに紛れていく少年
メリーは深々溜息を吐くと軽く地面を蹴り付けふわり宙を舞う
辺りからどよめきが起こり、そしてメリーは少年の目の前へ
「……僕は、寝ろって言ったと思うけど?」
互いの息が触れそうな程近くに顔を寄せ、言って迫ってやれば
少年は瞬間戦き、声を飲み込んだ
「……まぁ、別にいいけど。それで、妹は?」
「は?」
「君はちゃんと戻って来てる。妹の方はどうなの?」
その所在を尋ねてやれば、少年は顔を伏せる
戻って来てはいないのだろうか?
少年の様子からそう察し、メリーはまた溜息を一つ
吐いてしまえば、少年は漸く口を開き話し始めた
「……妹も、戻ってきた。でも、起きるなりどっかに行っちゃって……」
「ソレを君は探してたって訳?」
「そう、だよ」
何か悪いのか、と睨み付けてくる少年
何も言ってなどいないのに
最早何度目か分からなくなってしまった溜息を吐けば
メリーは少年の腕を掴み、そのまま歩き出す
「ちょっ……。お前、何行くんだよ!?」
「妹を探しに、だよ。放っておくと、まずいから」
妹と聞き、途端に大人しくなる少年
漸く静かになったと、メリーは少年を方へと担ぎ上げると軽々と宙に舞う
眼下に広がる夜の街
ヒトも僅かな点にしか見えなくなる程に高くまで昇り
その中でメリーは妹を探そうと眼を凝らした
「こんな所から見つけられるのかよ?」
「分かるよ。あの子が、ナイトメアに憑かれているならね」
「……?」
メリーの言葉の意が理解出来ず首を傾げる少年
どういう事かを問われ

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