《MUMEI》

「何言ってるのよ。まだ昼間だし、時間は有るわ。それに、カケルが居るんだからなんとかなるでしょう。」

「その通り。カケルが強いのは知ってるでしょ?」

アカネとハルは完全に俺を信用しきっているみたいで、少し嬉しくなった。

「そうですが…。」

アイはそれでも尚食い下がるが、他のAI達はその勘とやらを諦めた様で、サウザー以外はハル達に渋々付いて行ってしまった。

「うぅ……。」

アイはそれでもハル達の背中を見つめ、唸る程だった。

「大丈夫だって。俺が居る!」

明るい口調でそう言うが、実は俺でさえ嫌な予感がする。

まずは、此処に残った面子。

俺とサヤ。これだけでも十分何かが起こりそうなものだが、加えてアイとサウザーまで揃っている。

しかも、こんな広大な大地。他のプレイヤーも見当たらない。

何かが起こらない筈はない。

「で、練習するんだろ?見ててやるから、そこら辺の雑魚倒してこいよ。」

サヤはそんなこと知りもしないので普通に振る舞おう……として、サヤがとんでもない事を口にした。

「ショウ兄、ごめん。」

「え?」

言った途端に、サヤはその場に座り込んだ。


「捲き込むから。」


次の瞬間に、俺の眼前にログアウトの文字が赤く光った。

「は!?」

遠くで、アイの声が聞こえた様な気がした。

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