《MUMEI》

「……していい?」
七生の指が腰に当たる。


「え、」
今ここで!母さんが帰ってくるし無理だよ。

「……勿論、キスだよ?」
悪戯っぽく笑う。


「……あ」
 最低だ。

別のベクトルに向かっていた思考に呆れてさえいる。


「ふ……、お望みどおり、激しいやつあげるか?」
下唇に触れられた。
凛々しい声……。


「うん、欲しい……です。」
従順な俺……。
これは、かなりやばい。沖縄のときも危なかったのに!互いにそういうのハマったら、勉強手に付かなくならないかな。
七生、めっちゃ嬉しそうな顔してるし。




七生の舌が俺の唇に口紅を引くように塗られた。

ヒィィィ、何だこれ、目をがっちり閉じてしまう。
被さる七生にしがみついた。




   カプ


「いっ…………」
顎を噛まれた。
噛んだ場所に舌が滑る。乱暴だと思ってからの対応が早い。首に七生の手が伸びてくる。


しがみつく指に力が篭る。
首筋に舌が這う。


「………………ふァ!」
体の中が喚いた。

自分でも驚くくらい高い声が出る。

恥ずかしい。

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