《MUMEI》
手紙
それから10年経った時に山本から手紙が届いた。

「三倉里緒様へ

お久しぶりです。お元気でしょうか。

私山本博樹は今、心理学会という組織で働いています。

こうして今働けているのも10年前のあなたの言葉があるからです。

私はあなたのお父様がお亡くなりになられた時、自分の勝手な発言によって追い込んでしまった、私が殺したようなものだと思い、塞ぎ込む日々でした。

もし、あなたが死なないで、と叫んでくれていなかったら私は生きていけたか分かりません。

それに、あなたから聞いたお父様からの伝言(?)にも本当に助けられました。

「私を責めてくれてありがとう。誰からも責められないというのも辛いものだね。あなたが責めてくれたおかげで少し楽になった、ありがとう」

私が責めたことを感謝してくれるなんて思ってもいませんでした。
この言葉のおかげで私は自分の考えを曲げずに済みました。

私は今の仕事で犯罪を無くす為の研究をしています。
いつか犯罪が無くなるような世の中になれば良いと願っています。

辛いことを思い出させてしまって申し訳ありません。

あなたにどうしても感謝の言葉を言いたかったのです。

ありがとう


****年**月**日 山本博樹

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