《MUMEI》 独り?てめぇら私の仲間だろ!〜乾〜 なるほど、だから風魔はあの小柄な身体の割に身体能力が高く、余分な脂肪分はつかず、強靭な筋肉を持っているのか。忍びの修行はつらく厳しいと聞く。風魔は生まれてからの15年どれほどまでに苦しく、血ヘドを吐くような日々を送って来たのだろう。先ほど話していたとき、彼女は今までに見たことのない冷たい顔をしていた。彼女は風魔一族を恨んでいるのかもしれない。 「さて、次は私がこの屋敷に独りで暮らしている理由だよね?」 そう言って風魔は薄く微笑みながら言葉を繋ぐ。 「ただ単に、私が風魔一族の本家を出て普通に暮らしたいって言ったら長が譲ってくれたんだ。」 …このだだっ広い洋館を普通とは言わないだろ。 というより、こんな大きい洋館をぽんっと譲る長っていったいどんな神経してるんだ? 「でも、こんな大きい洋館に独りで暮らすのって寂しくないんスか?」 桃城が悲しげな顔をして風魔に問いかける。きっと自分が同じ立場にたった場合を考えたのだろう。 「確かに、独りは怖い。けど1人は怖くないだろ?皆いずれは1人暮らしする。でも、見えなくても友達や両親、仲間の優しさが残る。それは怖いことじゃないだろ?でも、仲間も友達も思い出さえもない孤独は怖い。」 淡々と紡がれる言葉の連鎖は子守唄のような柔らかさを持って身体中に行き渡る。 水が渇いた大地に染み込むような、という表現が当てはまる感覚だ。 今はまだ言葉だけではピンと来ないが、いつかその言葉の本当の意味を理解したい。 「今、私は青学の人たちに支えられている。だから、ありがとうね!皆!」 そういった風魔はた普通の女の子だった。 前へ |次へ |
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