《MUMEI》
そんなの
「...あ、いや、えっと...大丈夫です。」

「そっか、ごめんな」

「いえ...」

沈黙。
重々しい空気が
いたたまれなかった。

「わ 私もう行きますね」

ガタンと椅子から
立ち上がり、
行ってらっしゃいと
言う高橋さんの声を
背後に荷物を
持って出て行く。

あー、緊張して損した。
覚えてないだなんて。

セックスできれば
誰でも良かったの...?

もんもんと考えて
大学へと向かう。

「怜子!!」

背中に衝撃がはしる。

「...灯呉」

私の彼氏だ。
背後からいきなり
抱きついてきた。

「ははっ、驚いたか?」

「んーん、あんまり驚いてなーい」

「うわひでぇ」

ちゅっ

朝の挨拶のキス。

「行くぞ」

手を差し出してくる。

「そうだね」

手を握り返す。

昨日のセックスの事を
考えると灯呉に
すごく申し訳ない。

だってあんなの浮気だ。

灯呉じゃない
誰かのオチンチンを
このオマンコは
くわえたんだから。

そのままいつものように
大学に向かって
講義を受けて帰宅時間。

「怜子ー、帰るぞ」

「あっうん、待って!」

帰る準備をしてから
急いで灯呉の所に行く。

「お待たせ」

「おー」

「帰ろっか」

「だな。
...あ、今日俺ん家誰もいねぇんだけど、来ねぇか...?」

「行く行く!」

「じゃあ決まりな!」

心底嬉しそうに
無邪気に笑うものだから
またキュンと
来てしまう。

灯呉の家に家族が
いなくて行く時は必ず
セックスをする。

昨日のセックスを
忘れたい一心で
チャンスが来た。

灯呉とセックスすれば
きっと忘れられる。

だって私の好きな人は
灯呉なんだもん。

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