《MUMEI》
嫉妬
灯呉と手を繋いで、
散歩がてら帰宅した。

「じゃあ...また明日な!」

「そうだね、また明日!」

ちゅっ

不意打ちにキスをされ、
驚く私。

顔を赤く染めた灯呉が
大きく手を振って
帰り道を歩き出した。

私は灯呉の後ろ姿を、
見えなくなるまで
見送っていた。



「ただいまー」

そう言いながら
玄関のドアを開けると
お父さんがドタドタと
やって来た。

「怜子!遅かったじゃないか。どこ行ってた?」

「彼氏の家」

「は...まさか怜子...!」

セックスして来たと
察知したのかな。

まぁ何でもいいや。

「...高橋さんは?」

「まだ帰って来てないぞ」

「ふーん?残業とか?」

「そうそう...って違う。宏の事はいいんだよ。怜子!お前ってヤツは...」

「私ももう、大学生だよ?いいじゃん」

「...。」

「夜ご飯、食べるね」



「ただいま」

ご飯を食べてる途中、
宏が帰って来た。

「お帰りなさい」

そう言って出迎える。

「...お父さんは?」

「あー、何かさっき急に会社からの呼び出しくらって、出て行きました」

「...。」

沈黙。

「...あのさ、
彼氏いるって話
ホントだったんだな」

「...え?」

「帰り...見たんだ。怜子ちゃんが男とキスしてる所」

うわ、恥ずかしい...。

「って...昨日の話、何で覚えてるんですか!?」

「何でって言われても」

首を傾げていると、
高橋さんからお酒の
匂いがした。

もしかして、
お酒飲むと人格が
変わる的な感じ
なのかな...?

「ひ 宏...?」

試しに呼んでみる。

「ん?」

ビンゴだ。
素面の時は宏って
呼んだら不思議な顔を
されるのだから。

「宏だ...」

「...何だよ、そんな可愛い顔しちゃって。誘ってんのか?」

「え...!?そんなつもりは...んんっ」

無理矢理口を塞がれる。

「キス...俺以外のヤツに許すなよ」

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