《MUMEI》

遅刻しちゃうよ。

早く起きて。


「んー、あと5分だけ。」

「もう!」

二郎が休みだとつい甘えてしまう。


「もう、あほ七生……。」

耳元でリップ音。


「……ッ?!」

最高のモーニングコールで目覚めた。


「おはよう、寝坊すけ。」

「おはよう、愛してる。」

朝の告白を、照れながら返す言葉を考える恋人は世界一愛おしい。

そういや、授業参観の時期かあ……。

あれ、律人にプリント渡したよな……

ごみ箱から、授業参観のお知らせが発掘された。

「律人に、気を遣わせてたかな?」

「あいつ大人びてるよな」

距離を置くことで、お互いが傷付いている。

「大人ぶってるんだよ。誰かさんみたいに」

妙に刺さる言い方だな。父兄参観といっても殆んど母親ばっかり、二郎が見た目が学生だから、余計目立つ。
年頃の、律人にしたら確かに避けてしまう。来ない方がいいってなるんじゃないか。

俺達は他人だから、家族に一番近いとこにいてもいつの間にか線引きしてるんじゃないか?

律人の気持ちは少しだけ伝わる。
俺の母さんは亡くなって親父は仕事で忙しかった、そんな親に参観日に来いとは言えない。


父さんといっても、結局育ての親だった。
言われてから知ったこと。

別にいまとなっては笑い話だけど、俺がちゃんとそれを受け止めた時は確かに辛かった。

俺の親父は、拒まれても勝手に父親面してくるし、そういうのって理屈じゃないよな。
そういや、小学校の参観日は綺麗なお母様方の中に土方の親父が仕事抜け出してきて笑ったなあ。

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