《MUMEI》
〜「あの日」--ソラの回想3〜
 「クロユリ… 花言葉、"呪い" !」


俺の手にあったクロユリは、男のヒヤシンスと同様に、俺の手を飛び出した。

クロユリとヒヤシンスが、ぶつかり合う…


 「くっ… グワアァァ!」


どうやら、クロユリが打ち勝ったようだ。


 「グゥ…」


どうと音を立てて、男は倒れた。


 「やったか!?」


…だが、まだ終わりではなかった。


 「…なんてな、ゲヘヘェ!」

 「なっ!?」


 「ポピー… 花言葉、"忍耐"…」


男はそう言いながら、橙色の花を取り出した。


 「コイツを忍ばせてたのよ… ゲヘヘェ…」


嘲笑を浮かべながら男は立ち上がり、また「ヒヤシンス」を撃ってきた。

俺は、「クロユリ」で撃ち返す。


 「無駄だぞォ… ゲヘヘヘェ…」


…駄目だ。撃っても撃っても、男は平然と立ち上がる。


手詰まりかと思ったその時、男の胸に光る、青いペンダントが視界に入った。

"華闘士"の力を使うには、あの石が必要… ならば…!


 「クロユリ!」


俺は、もう一度… 男のペンダントに向けて、「クロユリ」を放った。


 「ゲヘヘェ… 何度やっても無駄だって、いつになったら分か…」


…クロユリが、男のペンダントを貫いた。

瞬間、男はスイッチが切れたように気を失い、倒れ込む。


 「助かった…の……?」

 「今のうちに逃げるぞ!」


なおも震えが止まらないユリを引っ張り、俺はその場を立ち去った。

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