《MUMEI》 プロローグ「う〜ん…遅いな〜」 私、渡邊葵、中学2年生は今、駅で友人を待っている。 電車が遅れているらしくなかなか来ない。 プシュー 電車が来たようだ。 たくさんの人の中から友人の姿を探す。 「アオちゃん、おはよう!!」 ふいに横から声をかけられ、振り向く。 「さっちゃん、ゆな、さら!!おはよう♪」 そこにいたのは私の待っていた友人、さっちゃんこと井上彩夏ちゃん、ゆなこと樫原結菜ちゃん、さらこと藤堂沙羅咲ちゃんだった。 3人は中学1年の頃に出来た友人だ。 いつもこの3人に私を加えた4人で学校に行っている。 ただ、私だけ家の方向が逆だから、学校の最寄り駅までは1人で行くしかない。 そこが少し寂しかったりする。 「今日テストだ!!」 「そうだ!!最悪〜」 「マジ!?頑張れ!!」 「ファイト!!」 いつものように他愛のない会話をしながら学校に向かう。 昇降口で靴をはきかえ、教室に向かう。 私達の通っている学校は、私立の中高1貫校の女子校で『森ヶ丘女学院』という。 この学校は1学年3クラスで40人編成だ。 そして、私達4人は綺麗にクラスが離れた。 さっちゃんとゆなは1組で同じクラス、さらは3組で私は2組。 つまり、さっちゃんとゆな以外はバラバラになってしまったのだ。 「バイバイ」 「またね〜」 そう言って別れる。 私も自分のクラスである2組に入る。 教室に入り、机にカバンを置いていると… 「アオちゃん、おっはよう!!」 いきなり後ろから肩を叩かれた。 驚いて振り向く。 「春ちゃん!!びっくりしたじゃん!!」 そこには私と同じ2組で、友人の工藤春ちゃんがいた。 「ごめんごめん〜ねぇ、1組行かない?」 春ちゃんがそう言ってきた。 「OK♪いいよ〜」 私はそう答えると、春ちゃんと教室を出た。 この学校は1組、2組、3組と並んでいるため、1組はすぐ隣だ。 私達はよく1組に遊びに行っている。 2人で1組の廊下から中を覗いていると、 「春ちゃん、アオちゃんおはよう〜」 そう言いながら1組から1人の子が出てきた。 「華乃ちゃんおはよう♪」 「おはよう〜」 出てきたのは、友人の山崎華乃ちゃんだ。 「あっ、アオちゃん、春ちゃん!!」 私達が話していると、ゆなが気づいてさっちゃんを連れてこっちに来た。 「ゆんちゃん、さっちゃんおはよう」 春ちゃんがゆなとさっちゃんに挨拶をした。 「私もいるよ〜」 そう言ってさっちゃんの後ろから顔を出したのは、 「阿部っち!!おはよう」 「おはよう♪」 阿部っちこと阿部結衣ちゃんだった。 「おはよう!!」 新たな声が聞こえ、振り向くと… 友人で1組の井本優花ちゃんが登校してきた所だった。 『優花ちゃん、おはよう♪』 みんなで挨拶をする。 「お〜い、みんな〜」 のんきな声の方を向くと、3人の女子が走ってきた。 1人はさら、そしてもう2人は、マイちゃんこと今井紗綾ちゃんと高野若葉ちゃんだ。 3人とも3組で友人である。 先程声を発したのはマイちゃんだ。 『おはよう♪』 みんなが挨拶をする。 「ねぇ、昨日のテレビ見た?」 「見た見た!!」 「面白かったよね〜」 「あのギャグ本当うける〜」 「マイちゃん、その顔やめて!面白すぎる!!」 「さらちゃんひどい〜」 私達の1日はこうして賑やかに始まる。 次へ |
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