《MUMEI》
始まりと頼まれ
「お願いっ!!」




瑞希の目の前には手を顔の前で合わせて必死に頼み込むクラスメイトの女の子がいた。



「えーと、それはつまり……書類を生徒会に提出しないといけないけど他に大事な用事が入ったから、暇そうな人に頼んでいると」

「…う……」



わざとらしく嫌味を込めていうと女の子は少しショボンとして項垂れた。


その可愛い姿を見て、何か新たなものに目覚めそうになったが瑞希は首を振ってその煩悩を消し去り笑った。



「冗談だよ。いいよ、行ってくるね」

「ありがとう!!」



余程大事な用事だったのだろう。


彼女はパァ!と顔を輝かせると瑞希の手の上に書類を置いて「よろしくね!」といってバタバタと教室を出ていった。


その後ろ姿を見届けてから瑞希はハァ、と溜め息を漏らした。


瑞希は決して彼女の魂胆が見えない訳ではないのだ。



生徒会といえば瑞希と結菜を除く全校女子生徒が憧れる存在。


その彼らに会えるなんてまず無いが、それを他の人に頼むという事は恐らく彼氏絡みなんだろう。


そして瑞希に頼むのは、一番害が無いから。


彼らに興味が無い瑞希は彼らをみてミーハーになったりする可能性が極めて低いから瑞希を選んだのだ。



書類に軽く目を通してから瑞希はクルリと踵を返すと生徒会室……ここでは何故か王室…に向かった。

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