《MUMEI》
再会と勧誘
大きな扉の前で瑞希は止まった。


そして、ノックをして入室を促す声を聞いてから部屋に入った。


中にいた茶髪の青年は瑞希を見て少し驚いた表情を見せたが、すぐに切り替え「座って」とソファーを指した。


瑞希がそれに従うと彼___北川 諒は瑞希の目を見た。


「久しぶり。瑞希」

「久しぶり。諒」


挨拶を済ますと諒は立ち上がり紅茶を淹れ始めた。


「それで?書類を出しにきたの?」

「正解」

「ふーん。…そういえば、結菜と会ったみたいだな」

「知ってたんだー。…で?本当は何を言いたいの?」


諒は笑みを崩さない瑞希を見つめる。
やがて沈黙の末に出した言葉は、


「俺達の仲間に入らない?」


だった。


「無理」


瑞希は笑い、即答で答えた。


「…なんで?」

「逆にこっちが聞きたいよ。なんで?…なんで私なの?」

「…瑞希に、入って欲しいんだ」


今でもまだ、瑞希は笑い続けている。
その笑みの裏には何かが隠れていそうな、そんな笑い方だった。

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