《MUMEI》
新斗の企み。
文化室
「はい。新くんに言われた通り、御守りの中に発信器仕込んどいたよ」
天草は発信器の大器を投げるように渡してくる。
「ありがとう。助かった」
「正直、みんなに発信器仕込むって、かなり悪い気分なんだけど……何に使うの?」
「すまんが、それは言えない」
「……その秘密主義、好きになれないなー」
「好きになんて、別にならなくていい」
「信用されてないって、すごく思う」
「信用しているさ。ただ、計算の中に必要ないだけ……いや、話すこと自体が計算を狂わせることになるんだ」
「……信用してないって言わない?それって」




病室
「……わかった。オレは何をすればいい?」
「別に難しいことじゃない。天草を守れ」
「……それは……美鶴が危ねえってことなんだよな?」
「ボクの計算が……正しければな」
「……いっつも思うんだけどさ。お前の計算って、外れてほしい時にばっか当たるよな」
「ふっ、皮肉だな」
「で、オレはどうやって美鶴を守りゃいいんだ?」
「足は?」
「明日には松葉杖は取れるな」
「よし。なら明日から美鶴の後をつけろ。ただし、連中が天草の前に現れるまでお前も姿を見せるな。たとえ、天草が見舞いに来ても、だ」
「なっ!?それって、美鶴がオレのとこに来ても門前払いしろって言うのか!?」
「そうだ」
「そんな酷えこと……!」
「そうするしかないんだ。バレたら……ボクらは終わりなんだ」
「だけど……ぐぅう!仕方がねえ!全部終わったらお前なんか奢れよな!」
「ふっ、構わんぞ。貯金はたらふくある。全員フルコースでご馳走してやろう」
「上から目線で言うな!」

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