《MUMEI》
「何が起きても、自己責任」。
「……何の用だ、新斗」
「例の通り魔事件のグループを特定した」
「……ほう。面白いことを言うな。またお得意の嘘か?」
「嘘じゃない。2年前の誘拐事件は知っているな?ボクの友人はその被害者で、そいつらは未だに恨みを持っている。そいつらが釈放され、ボクの友人が襲われたんだ。それを阻止するために発信器仕込んどいたんだ。たった今、神名薫に動きがあった。もしかしたらそいつらに拐われた……いや、移動速度が遅い。自ら向かっているな」
「……発信器を仕込んだという所に言いたいことがあるが、まあいい。嘘ではないなら教えろ。通り魔事件の人数、目的、居場所を」
ッ!?警察がまだその程度の情報も掴めていないのか?
あの短慮的な奴等に警察から逃げられる程の脳ミソはない。
つまり、奴等に加担している者がいるかもしれない。
「……どうした?」
「……いや、何でもない。ボクの情報をやるには条件がある」
「……条件?それを飲む必要があるのか?」
「父さん達にとっては飲んだ所で必要性はない。だが、飲まなきゃボクは情報を与えない。どうだ?」
「……力付くで聞いてもいいんだぞ?それに情報が無かったら我々は動きようがない。お前は何がしたいんだ?」
「……ボクを現場に連れていってくれ」
「……なんだと?」
「ボクは弱い。ボクが現場に行っても何が出来るのかはわからない。もしかしたら何も出来ないかもしれない。でも、ボクは行かなければならない」
「……何故だ?いや、もう話さなくていい。お前の出した条件は飲まない。だが情報は渡せ」
「ボクは行かなきゃダメなんだ!みんなボクの指示通りに動いてくれている。みんな危険な目に遭っている……。ボクだけ安全圏で待っているだけなんて耐えられない!だからボクも行くんだ!」
「黙れ。ならぱ、無理矢理聞き出してやる。発信器を渡せ」
立ち上がる父さん。父さんは柔道をしていて、強い。勝てるわけがない。
「……そうか」
なら、近付かれる前に対処する。
発信器を取り出し、それを床に叩き付け、踏み潰す。
発信器は完全に破壊した。
……すまん、天草。弁償する……。
「……お前……何をしている?それが無かったら奴等の居場所など……」
「場所はわかっている。やはり短慮的だ。方向だけで居場所は簡単にわかった。つまり、奴等の居場所はボクの頭の中にある」
「……」
「ちなみに言っておくが、ボクは1人でも行くぞ」
「……なるほどな。まさかそんなことをお前がするなんてな。驚いたよ」
父さんが笑う。父さんの笑うところは、久しぶりに見た。
「いいだろう。連れていっても良い。ただし、自らの意思で現場に行く以上、何が起きても、自己責任だ」
「ああ。わかっている」

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