《MUMEI》
褒美。
「言うまでもないこととは思うけど、一応補則しとくね。2年前に君達に接触した小鳥遊章臣も、ワタシなんだ。えへ」
あの小鳥遊さんも……ダメだ。思考が追い付かない。何が何だか……もう、わからない。
「じゃあ、ワタシはこれで失礼するよ」
小鳥遊さんが出口に向かって歩き出す。
「待っ……、ぐぅ!」
体が痛い……。引き留められない。
くそ……!
小鳥遊さんが扉に手をつける前に、扉は開いた。
「薫くん!」
ミクちゃんだった。
「逆間久美……」
小鳥遊さんが呟く。
「……?薫くんの知り合い?」
そうだった。面識ないんだった……。
「そう言えば、品川達をワタシの手を煩わせることなく退けた褒美をあげていなかったね」
小鳥遊さんが急にそんなことを言い出す。
「君に返して上げるよ。逆間久美」
「……え?」
ミクちゃんの頭に手を乗せた。たったそれだけだった。
ミクちゃんはいきなりその場にしゃがみこんだ。
「み、ミクちゃん!?どうしたの?大丈夫!?」
ミクちゃんに反応はない。
「ミクちゃんに何をした!!」
「大丈夫。少し混乱してるだけだよ。すぐにいつも通りに戻るよ」
そう言って小鳥遊さんは部屋から出て、
「またね♪」
扉を閉めた。

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