《MUMEI》 笑顔。僕の告白を、ミクちゃんは涙を流して、コクンと頷いた。 「嬉しい……!」 僕も、すごく嬉しい。 2年前から止まっていた僕らの時計の針は、ようやく動き始めた。 見つめあう僕とミクちゃん。 僕らの顔は徐々に近付き、唇と唇を重ね合わせるーーーーー瞬間、扉は開いた。 「薫!!大丈夫なの!?」 なんという、お約束……!! 「は、晴姉さん!?」 「なんで2人とも床にしゃがみこんでるの?……あ、もしかしてお邪魔だった?」 ガックシきた……。 「……なんでもない。大丈夫……」 「とりあえずベッドに戻すよ」 晴姉さんは僕を持ち上げ、ベッドにゆっくり下ろす。 「……またあんたは心配させて……」 「ご、ごめんなさい……また私のせいで」 ち、違う…… ! その言葉を言う前に、晴姉さんが言葉を紡ぐ。 「なんで久美ちゃんが謝るの?」 「……だって、私が誘拐なんかされるから……。薫くんはこんな大怪我をして」 「ああ、気にしないで。己の力量も計れず、自分ならやれるっていう自惚れの罰だよ」 は、晴姉さん……! 間違っちゃいないが、なんか腹立つ。 「で、でも間違っていたら……」 「いいじゃない。生きて、帰ってきてくれたんだから」 晴姉さんの目は、少し充血していた。 晴姉さんを……泣かせていたんだ。 罪悪感が、混み上がった。 「あ……、天馬義兄さんは?」 「天馬さんは薫の着替えとかを用意してもらってるよ」 「あ、そうなんだ。ありがとう」 「本人に言いなさい」 冷静に考えると、僕が死んだら、悲しむ人は沢山いた。 ミクちゃんを助けに……今回は乗り込みに行ったけど……とても危険なことをしたという自覚はある。 下手したら、本当に死んでいた。 こうして、また家族に会えるのは、奇跡みたいなものだ。 ミクちゃんと想いを伝え会えるなんて、本当に奇跡だ。 僕はミクちゃんが好きだ。 変わらない。 何があっても、どんなことがあっても、変わらない。 チラッとミクちゃんを見たら、目が合った。 僕らは、お互いに笑い合った。 前へ |次へ |
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