《MUMEI》
手紙。その2
2週間後
僕と響介は退院した。
松葉杖が必要だが、学校に行った。
学校では噂が流れていた。
誘拐犯との争いに巻き込まれ、大怪我をしたということ。
間違っていないから否定しづらかったけど、それを肯定するわけにはいかなかった。
そんな事実はない。
それを証明するには、僕らは、またミクちゃんと距離を置くしかなかった。


それから更に1ヶ月後
僕の体は完治した。
いつだったかはわからない。
噂はいつの間にか無くなっていた。
それでも、離してしまった距離は、簡単には縮まらない。
なにか……きっかけがなければ。


放課後、下駄箱を開けた。
そこには、手紙が入っていた。
宛名は、無い。
ハッとなり、手紙を開いた。
『大切なお話があります。放課後、部室棟4階の文化室に来てください。良い返事を期待しています』
「……」
ぽん、と後ろから緋門が僕の肩に手を置く。
「おー神名!どったん?手紙……って、なにその顔……あ!神名!?」
いつの間にか、僕は走り出していた。
手紙の書いてある場所へ。

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