《MUMEI》 手紙。その22週間後 僕と響介は退院した。 松葉杖が必要だが、学校に行った。 学校では噂が流れていた。 誘拐犯との争いに巻き込まれ、大怪我をしたということ。 間違っていないから否定しづらかったけど、それを肯定するわけにはいかなかった。 そんな事実はない。 それを証明するには、僕らは、またミクちゃんと距離を置くしかなかった。 それから更に1ヶ月後 僕の体は完治した。 いつだったかはわからない。 噂はいつの間にか無くなっていた。 それでも、離してしまった距離は、簡単には縮まらない。 なにか……きっかけがなければ。 放課後、下駄箱を開けた。 そこには、手紙が入っていた。 宛名は、無い。 ハッとなり、手紙を開いた。 『大切なお話があります。放課後、部室棟4階の文化室に来てください。良い返事を期待しています』 「……」 ぽん、と後ろから緋門が僕の肩に手を置く。 「おー神名!どったん?手紙……って、なにその顔……あ!神名!?」 いつの間にか、僕は走り出していた。 手紙の書いてある場所へ。 前へ |次へ |
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