《MUMEI》
我慢
「ただいまー」

麻里ちゃんと別れて
真っ直ぐに帰宅する。

家からは何の声も
返って来ない。

...まだ誰も
帰ってないのか。

玄関に入り、靴を脱ぎ、
リビングに入る。

誰も帰って来てないなら
ここで着替えちゃお。

制服を全て脱いで
パンツとブラジャー
だけになる。

ふぅ、
基本的にこの格好が
楽で好きなのよね。

テレビを見ようと
ソファーに近寄ると

「スースー...」

誰かの寝息が聞こえる。

やだ...
誰かいたの?

無意識に腕で
自分の体を覆う。

眠っているようなので
そっと覗き込む。

...宏。

無防備に寝ている宏は
全く起きる気配がない。

黙って宏の前に行き、
膝をついて座る。

...この唇に
キスされたんだ。

宏の薄い唇。

触りたい衝動に
かられる。

駄目駄目。
起きちゃうかもだし。

思い直して
宏の体を見る。

この指が、
私を犯したのね。

宏の、綺麗な指。

この腕で、
私を抱き締めたのね。

宏の、逞しい腕。

このズボンの下に
隠れているオチンチンが
私を貫いたのね。

宏の、大きな
オチンチン。

全て、触りたくて
しょうがない。

体がうずうずして、
熱く熱を帯びる。

ん...
濡れてきちゃった...

「...怜子...ちゃん?」

「えっ!?」

宏が薄く目を開けた。

...まずい、今私
ブラとパンツ姿だよ...!

それに気付いたのか
宏の目がかっと
見開かれる。

「はっ!?」

「きゃっ!!?」

びっくりして
尻もちをついた私。

「な 何て格好を...」

宏の顔が
真っ赤に染まる。

「あ...っ、や やだ」

体育座りで体を隠す。

「ご ごめん!見るつもりじゃ...!」

「わ 分かってます!...と言うか私が悪いんです!」

「僕...目瞑ってるから早く着替えてきなさい」

「は はぃ...」

そそくさと
その場を去る。

どうしようどうしよう。

裸同然の姿...
見られちゃった...。

恥ずかしくて
顔合わせられないよ。

夜の宏には
見られてるけど...
純粋な宏に見せるのは
恥ずかしい...。

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