《MUMEI》 コンピューター室とパソオタ王子諒からの生徒会入りの勧誘を受けて一日がたち今は校内がより一層賑わう昼休みである。 そんな中、瑞希は決して賑わう事のないコンピューター室にいた。 コンピューター室の入室は予約制であるが、瑞希の知る限りこの部屋を使っているのは瑞希を含めた二人だけだった。 そのため面倒になった先生は二人にコンピューター室の鍵を渡している。 ばれたら確実に先生は怒られるだろう。 そんな一種の貸しきり状態になっているコンピューター室だが、瑞希は一年ちょっとをそのもう一人とこの部屋で一緒にお昼休みを過ごしていたことになる。 だが、瑞希はこの前まで彼の名前すら知らなかったのだ。 どれもこれも彼を知る原因になったのは結菜と廊下でぶつかっていたからであり、その出来事がなければ瑞希はこの瞬間まで……いや、恐らく一生彼の事に興味を持つなど無かっただろう。 瑞希は改めて彼、学園王子の一人でありパソオタの称号を得た無口な美青年……西川 蒼を見た。 蒼は周りより少し真面目、というか大人しく温厚な生徒なので制服もキッチリと着ていた。 もちろん、瑞希もキチンと着ているが、蒼はシャツのボタンを一番上まで止めていて綺麗にネクタイが首もとで結んであり、紺色のベストを着ていた。 そしてそのベストを見て瑞希は気が付くのだった。 蒼が瑞希や結菜と同学年、すなわち二年生だということに。 桃峰学園の制服は男女で色が違う。 パソコンに没頭する蒼を見ながら自分の制服と彼を見比べていた。 ひとつの疑問を呟きながら。 「……目、悪くならないのかな……?」 前へ |次へ |
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