《MUMEI》
神名晴の話。その2
両親は、僕が6歳の頃に他界した。
不慮な交通事故だった。
僕と晴姉さんは……、二人ぼっちになった。
母さんの妹……叔母さんの家に引き取れることになった。
生前、母さんと叔母さんとは仲が悪く、ほぼ絶縁状態だったらしい。
そのためか、僕と晴姉さんの当りは強かった。

「私が働けるようになったら、2人でここを出よう。だからもう少し……辛抱してね」

1日の終わりに、まるで口癖のように繰り返し言っていた。
僕は無責任に「うん」と返事をしていただけだった。
それから約1年後、晴姉さんは高校を卒業し、働き始めた。それと同時に、晴姉さんは約束通り僕を連れて叔母さんの家を出た。
母親代わりとして、働きながら僕を育ててくれてきた。
叔母さんの家から出たことによって、小学校を転校し、転入した先には、ミクちゃん達がいた。
出会いの話は、いつか機会があればまたしようと思う。
そよそも響介は知っている話だからね。
何はともあれ、僕と晴姉さんはこうして今の生活を手に入れた。
それから、僕の小学5年生だった頃の夏休みの事件から1年後、晴姉さんの突然の告白に、僕は1ヶ月近く悩ませることになる。


「薫。実は私……結婚しようと思うの」

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