《MUMEI》 神名晴の話。その3名前は浜松天馬。 晴姉さんの3つ年上。 仕事先の先輩で、そこで出会ったらしい。 出会って1年程して交際。 それから半年程で、結婚しよう、となったようだ。 なに、それ。 「……」 晴姉さんの話を聞いても、僕はまだ何も言葉を発していない。 「お……」 ようやく絞り出した言葉は途中で停止し、続きの発言を止めた。 「お……、おぉ……。け、結婚かー。いきなりだね」 そうだ……。いきなりすぎる。 「ごめんね、薫。でも……」 私は、天馬さんのことを愛している。 普段、奇天烈な晴姉さんは一体どこへ行ってしまったのだろうか。 それを聞いてしまった僕に、もう発言力はない。 肯定も否定も出来ないまま、話は終わった。 時間が欲しい。 気持ちの整理が付かない。 ……頭を掻いて、ため息を吐いた。 前へ |次へ |
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