《MUMEI》
神名晴の話。その4
晴姉さんが結婚……。
別に賛成か反対と言ったら、僕は正直賛成だ。
もしかしたら、結婚して僕に対して大人しくなるかもしれないしね。
でも、なんかもやもやする。
なんなんだ、これは。
悩んでも、答えを出さなきゃならない。
相談……する相手は……もういない。
自分で考えて、答えを……。
「……あれ?答えを出して、どうするんだ?」
賛成なら、それでいい。
反対なら、どうすればいい?
晴姉さんが浜松天馬さんという人と暮らしたいというのなら、僕はもう何も言えない。
これまで親代わりとなって育ててくれた。
高校を卒業して、身を粉にして働いていた。
僕の……ために。
僕が……晴姉さんの幸せを……邪魔している?
いやだ。
僕は晴姉さんの幸せを奪いたくない。

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