《MUMEI》
いらない
どうやらあの客はここ最近毎日カフェにきているらしい。
客の年齢は二十歳前後の長身の男だった。
「店員さんさ、名前菜々っていうんだね。メアド教えて欲しいな。」などといってきた。非常に軽い男が特に嫌いな 菜々はキレる寸前だった。お客さんなので手加減しているもののこれが普通の男なら容赦はしない。
「本当に辞めてください!」
菜々は何度もこういっている。しかし客の男は辞めようとなどしない。
カフェは閉店の時間が近付いて来てお客さんはほとんどいなくなっていた。しかしその男の客はまだカフェにいる。
いい加減にキレた速水さんが男に近付いた。男はまた菜々に話しかけている。
「お客さん困りますよ。店員に手は出さないでください。それにもう閉店の時間なのでおかえり願います。」
「はぁ?まだ閉店の時間じゃねぇだろ?関係なくねぇ?お前あの子の男なのかよ?」
客はキレかかって速水さんにくいかかった。「なんだと…!」
速水さんが客の胸ぐらを掴んだ。
「やめろ!速水ッ」
佐山さんが止めに入った。危うく喧嘩になる所だった。
客は帰っていった。
それからはその客はカフェにはこなくなった。

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