《MUMEI》
テータ
テータは届くか届かないかわからない手紙をたくさんくれる。
パパの国では手紙が届かないことがよくある。メールの方が確実なのに、テータは手紙がいいと言う。
「瑠璃ちゃんにお母さんの国の言葉をちゃんと覚えてほしいから」というのが理由らしい。
ああ、テータはパパの国の言葉でおばあちゃんのこと。
パパのママは私が生まれる前に亡くなっているから写真でしか見たことがない。
ママのママは英語ができるから、私が初めて見る単語や、あんまり使わない単語には必ず英語がかっこして書いてある。
私はどっちの単語も知らなくて、辞書を引くことが多い。
ママに聞くと、「ヤーニー。えーと…」と、パパの国の言葉とママの国の言葉の「えーと、なんだっけ」と言っていることがよくあって、私は判らないままの事もあるから。
パパはテータに感謝しているそうだ。「ルールーが、ママの国の言葉を理解できたら、ママを助けられるからね」と言っていた。
ママは「ママが秘密を持っていたら、それはママの国の言葉でしか言わないから、パパにそれを知らせる為に、瑠璃はママの国の言葉を覚えてね」と言う。
普通、秘密は内緒にしたいと思うんだけど、ママは不思議な人だから、なんか違うんだろうね。
テータは遠くにいるけど、手紙がくるからとても近い存在だ。

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