《MUMEI》 とかげママは「私は薩摩隼人が好きなのに、ダメなのよねぇ」と震えていることがある。 とても暑い夏の日でも、ママに触ると、氷みたいに冷たいことがある。 だいたいパパが忙しくて、私には今日あったこととかちゃんと聞いても、ママと話す時間が無かったり、寝ちゃった日が続くとダメだ。 ママは「ママはとかげだからくっついていると気持ちいいよ」と、私を抱きしめてくれる。確かに気持ちいいけど、ママが冷たいのは怖い。 怖いと思ったのは、ある時パパに「どうしてママは冷たいの?」と聞いた時のパパが、ものすごく慌ててママに謝ったからだ。 ママはパパに「気がついてくれてありがとう」と、とても幸せそうに言った。その顔がとても怖かった。ママがとても遠くに行っちゃいそうな気したから。 それから、ママが冷たいとパパに「ママがとかげになってるから、早く帰ってきて」とこっそりお願いする。 そうすると、パパはどんなに遅くなっても、ママの為の時間を作る。家にいないときは、電話してくる。 ママはカメレオンみたいに、薔薇色の肌になる。 薩摩隼人と言う王子様について、テータに聞いたら、馬に乗った、カッコイイ人。あとは難しくて判らなかったけど、パパみたいな人らしいことは判った気がする。 ママがとかげになると、冷たいだけじゃなくて、どこでも寝てしまって動かない事があるから、やっぱりパパには早く帰ってきてもらいたい。 前へ |次へ |
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