《MUMEI》 まだ桜が散っていない春のこと。 パン屋でバイトをしている私は、また失敗してしまいチーフに怒られ肩を落としていた。 いつもより少し帰りが遅くなってしまった。 最寄りの駅から家までは歩いて15分。時計を見ると22時40分だった。 田舎に住んでいるから街灯もほとんどない。 頑張るしかないかと思ったとき 「吉川?」 「へ?」あまりに突然声をかけられたから変な声が出てしまった。 振り返るとそこにいたのは渡辺勇紀だった。渡辺は学校のクラスメイト。 「バイト?」 「うん…。」実はこれが渡辺との初めての会話だった。あまりに普通に話しかけてくるもんだからびっくりして声が小さくなった。 |
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