《MUMEI》

 
 



 
 
   「出ちゃう?」




 「…………〜ッ!!」
さらっと言いやがる!
ジーンズの釦に手が掛かってきた。


「ななぁ……っ、 ダ メ……!」
寸前で手を払い退けた。



「触らせて欲しいな、二郎に俺の本気、感じてもらいたい……」
砂糖菓子みたいに甘い言葉……。体が惚照って、焼け焦げてしまいそう。

愛しい気持ちがいっぱいに溢れてくる。

俺も七生も好き同士なんだと改めて思う。俺だって触りたい、こんなはしたないこと言えないけれど、もっと気持ち良くして、とか口走ってしまいそう。



「………………うん。触って?」
上半身を起こして七生の後頭部に唇を近付ける。
気が付いた七生が応えてくれた、押されてベッドに再び頭が付く。
何度目か分からない程キスしたのに、まだ初めてのときの余韻が残っている。


「…………じゃあ、俺のモノになって?」



もうとっくにどうなったっていいのに……。

こんな台詞、恋人同士だってあんまり使わないよ?

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